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東京奇譚集と冒険の国

昨日今日と、めずらしく家にいたので、家の中のこともそこそこに、本を読んでしまいました。村上春樹と桐野夏生、今一番好きな作家の本を買ってあったのですが、読みかけの本が沢山あるので、取っておいたのですが、つい読んでしまいました。買ったものの、いまいちと言う本はなかなか進まず、ページを見て、まだこんなに残っている、何て思うけれど、好きなものは、あぁ、もう少ししかない、って思うものですね。

「東京奇譚集」は村上春樹の短編集です。その名の通り少し不思議な物語ばかり。といっても、彼の小説はたいていファンタスティックなところがありますね。それでいて細部はリアルで、共感できる部分が沢山あります。登場人物もさめているけれど、胸の奥に熱い心があるような感じがする。「偶然の旅人」はゲイの男性がある人妻と偶然出会って、そのことによって、仲たがいしていた姉とのわだかまりがとける。「ハナレイ・ベイ」はサーファーの息子を鮫にうばわれた、ピアニストの母親の物語。あと3編も村上ワールドで、とても面白かったです。

「冒険の国」は桐野夏生の幻の処女作と帯に書いてありました。すばる文学賞の最終選考に残ったのですが、該当作なしとなり、出版されていなかった作品です。ディズニーランドが見える埋立地で暮す30台に差し掛かった女性とその家族の取り残されたような生活が描かれます。作者が言っているように、処女作とあって、少し骨組みがゆるく、突っ込みも浅い感じはしましたが、『取り残される』と言う不安や苛立ちは伝わってきました。

話はそれますが、『取り残される』と言うのは今でも大きなテーマだと思います。今、子供たちの考えられないような犯罪が多発しています。今多くの親たちは、競争に勝ち、偏差値の高い学校に入り、大会社に入るという、モデルを示して、子供たちを追い立てているように思われます。こんな単一のパターンでは、当然多くの子が落ちこぼれ、取り残されます。本当は多種多様な価値があってしかるべきなのに。一つの道しか示されなければ、そこからはずれた時にどんなにか不安になるか、想像できます。このような社会の状況と、子供たちの変化は無縁ではないような気がするのですが。

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コメント

難しい問題ですね。
私達はもう、子育て済んでしまったけれど
先行きの事を思うと無関係ではいれませんね。

子供には喧しく干渉しながら
こうしてネットやゲームをしている親も居ますし。。。
その逆もあるし。。。

家庭環境、一番大事です。日々娘達に言ってますが。

投稿: りゅう | 2005年11月11日 (金) 21時38分

取り残される・・・・・私にもその不安はいつもあたような気がします。社会から、友達から・・・・

いまの子どもたちは、すでに冷めてますね。取り残されるという感覚さえないこどもがいるとおもいます。先行きに漠然とした不安やあきらめが子どものころから育っています。しかも、その子どもの親にも諦めが・・・・30代の親はすでに私たちとは考え方も、暮らし方もずいぶん違うから。

投稿: ちまき | 2005年11月12日 (土) 10時47分

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