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大江健三郎家

先日、「たけしの誰でもピカソ」をビデオに撮っておいたのを見ました。大江健三郎と夫人、息子の光さんが出演したものです。私は学生時代から大江文学のファンで、大江さん自身をとても尊敬しています。

大江さんの息子の光さんは、障害を持って生まれてきました。生後すぐの大手術を乗り越えたけれども障害が残り、なかなか話す事ができませんでした。エッセイにも書いてありましたが、この番組でも大江さん自身の口から、光さんが初めて言葉を発した事が語られました。光さんは音にとても敏感に反応を示したので、音楽を聞かせたり、鳥の声を鳴き声を集めたレコードを聞かせていたそうです。ある日、軽井沢の林の中を幼児だった光さんを連れて散歩していると、鳥の鳴き声が聞こえてきました。そのとき、光さんがはっきりと、「くいなです」と、レコードそっくりに言ったのです。大江さんの驚きと感動がこちらの胸にも響いてくるエピソードです。

その後も深い家族の愛情に守られて、光さんは成長しました。彼の音楽の才能を音楽の先生は見つけて育ててくれました。そして、彼は幾つもの美しい曲を作曲するようになったのです。番組の中でもいくつかの曲が演奏されました。光さんは喜びにあふれた、そして少し照れくさいような表情で聞き入っていました。そして、大江さんと夫人の限りない慈しみに満ちたまなざしが彼を包んでいました。美しい光景でした。

大江さんは光さんの障害を知った時、穴ぼこに落ち込んだようだったといっておられました。そのときのことは小説にも書かれていますが、そのショックを乗り越え、この子を中心に生きようと決め、その後の作家としての道も決まったとおっしゃっていました。

私が大江さんを尊敬するのは、彼がいつも弱いものに暖かい視線を注ぎ、それだけではなく、社会を見つめて、常に発言していらっしゃるからです。文学者の中でもまれな存在といえると思います。

光さんについては、辛い傷害はあるものの、このような素晴らしい家族に恵まれて、とても幸せな方だと思いました。障害があるなしにかかわらず、人間は生まれる環境は決して平等ではありません。充分な愛情と、子供の能力を伸ばしたいという気持ちを持った親を持った子供は本当に幸せだと思うし、皆そうあってほしいものです。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

私も以前、テレビで家族の様子、拝見しました。
わが身に降り掛かったら、私はどうしたでしょうね。。。
夫は、根気よく面倒みるタイプだと思いますが。。。

娘達が幼いとき、夜中のトイレも、外でのトイレも、みんな夫がさせてましたわ^^;

光さんは、障害以上のものを得たんでしょうか。。。

投稿: りゅう | 2006年1月31日 (火) 22時17分

こんにちは。
辛いことですが、子供は親を選べないし親は運命に覚悟を決めて生きていかなければならないと思います。
先天性でも後天性でも不幸な事故でも。
どんな環境でも、子供の頼る先は親が一番だと思うのです。

投稿: まきち | 2006年2月 1日 (水) 09時17分

私も大江さん家族~テレビでチラッと見たことあります。みんながニコニコっと笑顔だったのが印象的でした。障害を知ったときってほんと落ち込んで大変だったでしょうけど、それを乗り越えたら 人間って強く生きられるんだろうね。家族の絆も普通の家より強いと思います。健康であることを当たり前だと思っちゃいけないんだよね、人間はいつも感謝の気持ちを忘れてはいけないなと思う今日この頃です。

投稿: keiko | 2006年2月 1日 (水) 23時38分

☆りゅうさんへ

もし自分だったらなかなか大江さんの様にはできなかったでしょうね。りゅうさんのご主人は優しい方ですね。りゅうさんだったら、夫婦力をあわせて子育てなさったと思います。ブログからも、りゅうさんは芯の強い方だとお見受けしましたよ。障害以上・・それはむづかしい問題ですね。神に与えられたものを甘んじて受けるしかないし。(私は無宗教ですが、そんな気がします。)

☆まきちさんへ

その通りですね。どんな親であっても、子供は受け入れるしかありません。親も同じです。それが幸せであったり、悲しいものであったりするのも現実ですね。だからこのような素晴らしい家族を見ると、感動します。

☆keikoさんへ

障害があっても強く生きている方は沢山いらっしゃいますね。その姿にはいつも打たれます。そして、小さな事でも、落ち込んだりする自分が情けなくなったりします。いつも謙虚に感謝して生きて行きたいけれど、なかなかそうできない自分がいます。

投稿: めろん | 2006年2月 2日 (木) 00時09分

以前ある人が「ひかるさんは、障害者のエリートだね」といった言葉が印象に残ってます。全ての障害者が両親から愛情を受け、才能を発掘されるとは限らないのですから。
すべての障害者が人間らしく生きられる世の中が理想よね。でも難しいことですね。

投稿: ちまき | 2006年2月 3日 (金) 14時46分

☆ちまきさんへ

ご返事が遅くなってごめんなさい。
確かに光さんはとても恵まれた環境にあったと思います。音楽と言うかけがえのない友を持ち、才能もあるし。でも劣悪な環境におかれている子供たちが沢山いる事を思うと、いたまれない気持ちがするのも事実ですね。私たち、健康な家族を持った幸せを感謝しなければ。そして何か役立てればよいのですが・・

投稿: めろん | 2006年2月 6日 (月) 22時56分

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