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ミゲル・ストリート

息子に薦められて、ナイポール著「ミゲル・ストリート」を読みました。中米、カリブ海の小さな島国、トリニダード・トバゴの首都、ポート・オブ・スペインの下町、ミゲル・ストリートに住む人々を、少年の目で見たエッセイのような小説集です。

あれ?とおもいませんでしたか?何か聞いたことがあるって。そう、今日、日本とサッカーで対決した国です。偶然ですがタイムリーでした。たいていの人は、この国は知らないんじゃないかしら。私も、全然知らなかったので、地球儀で調べたら、本当に小さな国でした。世界にはまだまだ知らない国が沢山ありそうです。

ナイポールと言う人は数年前にノーベル賞も受けている作家です。(この人も知ら無かったです。)彼は大学に進学するまでの少年時代をここですごしたので、その頃の生活がきっとモデルになっているのじゃないかと思います。

彼らは一様に貧しいのですが、かなり風変わりです。服を仕立てない、ダンディな仕立て屋、名前の無いものばかりせっせと作っている大工、暴力ばかり振るう父親と、努力家でまじめな息子、車を買うと分解しては壊してしまう男、世界で一番すばらしい詩をいつも書いている詩人、ちょっと胡散臭い哲学者、違う男の子供を次々と8人も生んだ女、そんな、奇妙な夢を見ているような人々が、少年とのかかわりの中で生き生きと描かれています。どうしようもない、悲惨さがあるけれど、人間味やユーモアもあり、少年の目は温かさを感じられます。みな、ここにいる限り抜け出せないと言う、あきらめも漂わせています。最後に、少年は母に勧められてイギリスの大学に向かいますが、その姿は著者とダブります。

著者の人間観察と表現力はすごいな、と感じます。これは彼の処女作らしいのですが、今度、違う著作も読んでみたいと思いました。「博士の愛した数式」や、「ダ・ヴィンチ・コード」も、勧めてもらって読んだのですが、たまにはそういうのも、世界が広がっていいですね。

余談ですが、この国を調べたと書いた地球儀なんですが、娘が中学に入学するお祝いに、義妹が文具券をくれたので、私が、勝手にそれで買ってきたものなんです。娘は、いろいろ可愛いノートなどを買おうと楽しみにしていたらしくて、ものすごく怒られました。結構高かったので、ほとんど使ってしまったので。今でも、この地球儀が話題に上ると、「あの時はひどかった!悲しかった!」と、言われ続けています。

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「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

 ミゲルストリートお読みになったんですね。私はこの本が大好きです。
 確かにこの本にでてくる人たちは変わった人たちばかり。でももしこの人たちの顔を見ることができたら、みんな目がきらきらしてると思うんですよね。その人の人生が楽しいにせよ、悲しいにせよ。(目がきらきら、つまり「本当に生きる」のと、「楽しい」というのは違うというのが私の持論です。楽しそうでも目が濁ってる人はたくさんいると思います。)
 日本だったらこういう人たちがいたらすぐみんなに馬鹿にされてすごいバッシングをうける。一見、利益に結びつかない(バッシングする側の価値観からすれば)ことをしてるから。意味のあることばかりするんだったらロボットと同じ、意味のないこと、いわゆる馬鹿なことをするのも人間らしさだと思うんです。
 何やってるんだか分からない奴がいっぱいいる方が、みんなすぐに理解できてしまう奴ばかりの世界よりおもしろいじゃないですか、健全じゃないですか。でもそれが、「自分の思う通りの世界じゃないと嫌」な人にとっては困るんでしょうね。

投稿: N.デヴィッド | 2006年8月10日 (木) 00時24分

ナイポールもミゲルストリートも初耳です。冬に長女がジャマイカにいったので地図でちょっとカリブ海の辺りを見たのですが・・・・
「本当に生きる」ことと「楽しい」とは違うというデヴィッドさんのコメントにぐさっときました。私は、「楽しい」ばかりを求めてるのかなあ。それでは、生きることの醍醐味は味わえないってことかな。
自分にとって得か損かだけでで決められていく生き方って味気ないわよね。
めろんさんの記事とデヴィッドさんのコメントを読んで、すでに本を読み終えたような気がしてます。

投稿: ちまき | 2006年8月10日 (木) 16時09分

☆デヴィッドさんへ

本当にその通りですね。私がうまく表現し切れなかったことを、言ってくださった感じで、感激しました。薄っぺらな人間で終わらないように、模索していきたいと思います。

☆ちまきさんへ

楽しく生きたいのは誰しも同じですよね。でも、それだけではやっぱり、何かが足りないとも思います。その、何かを探す旅が人生なのかしら。

投稿: めろん | 2006年8月11日 (金) 22時51分

始めまして。トラックバックさせてもらいます。
『ミゲル・ストリート』は良かったですね。私もデヴィッドさんと同じような感想を持ちました。
“ダメな人間”への視線の温かさが印象的でしたね…。

投稿: Y.. | 2006年10月22日 (日) 18時29分

☆Yさんへ

だめな人間と言って切り捨ててしまうような世の中は、無味乾燥ですね。今の世の中、そういう雰囲気を感じます。みんなが勝ち組(いやな言葉です)を目指して、子供たちまで巻き込んでいるような気がします。

投稿: めろん | 2006年10月24日 (火) 16時21分

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