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「ユージニア」

Book 恩田陸著「ユージニア」を読みました。

前に「夜のピクニック」を読みましたが、同じ著者とは思えない、全く違う感じの本で驚きました。「夜の~」は、さわやかなお話でしたが、これはなんともミステリアス。

古都の名家で起きた大量殺人事件。一家の中で唯一生き残った盲目の美少女、緋紗子。美しいだけでなく、聡明で誰もが憧れずにはいられないような少女でした。

実行犯の青年は自殺して発見され、事件は終わったかに見えたのですが・・

事件から、10年後、緋紗子の友達で、二人の兄とともに事件の発見者でもあった、満喜子は、この事件の関係者に取材して、「忘れられた祝祭」という本を書き、評判となる。

さらに20年あまり経って、又この事件を追って、関係者を訪ねて歩き、話を聞くという形で、この小説は構成されています。誰が話を聞いているのかは、最後の方まで明かされないのですが。

複数の人間の視点で語られる事件はそれぞれ違ってます。事件に関係した人たちの印象も又違っていて、謎は深まるばかり。事件の舞台となった名家と、犯人とされる青年との接点はなく、刑事は彼の背後に首謀者がいると確信している。けれど、犯行の動機は何なのか?

どんどん引き込まれて、読んでしまいました。けれど、読後感は複雑。頭の中に、クエスチョンマークが残りました。

人間て複雑ですよね。同じ事を経験しても、抱く感情も印象も違っているんでしょうね。日常でも、話をしていて、他人の感じ方に驚くことはよくあります。そして、自分自身も、相手によって微妙に違う自分になっているんです。真実って一体何なのでしょうね。真実はひとつではなく、無数にあるという事なんでしょうか。そんなことを考えてしまいました。

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コメント

真実は一つなのか?
人によって角度を違ってみれば違う真実が出てくるのかな。
子供のときには、正しいことは一つって思ってました。だけどだんだんそんなに単純じゃないってことがわかってきました。世の中は複雑でそんなに簡単に答えを出してくれないわね。グレーゾーンも多いしね。

毎日寒くて外に出たくないわね。そんなときは読書に限るわね。でも、最近読みたい本が出てこないの。めろんさんは、どんなところから読む本を探してらっしゃるの?

投稿: ちまき | 2008年2月10日 (日) 21時04分

☆ちまきさんへ

そうなの。子供の頃は、単純だった世界が、今は何が何だか、分からなくなった感じがします。

本はね、新聞や雑誌の書評欄を見て、チェックすることも多いし、図書館のベストリーダーや、芥川賞などの受賞作品はたいてい読んでみますね。(ミーハーだから。)友達が進めてくれた本も読んだりします。(「博士の愛した数式」はちまきさんのブログを見て読みましたよ。)あと、気に入った小説があると、その作家のほかの作品も読みますね。「ユージニア」の後、同じ作家の「ドミノ」も読みました。又全く違うタッチで、面白かったですよ。本は知らない世界を見せてくれるし、現実逃避の手段でもありますね。

投稿: めろん | 2008年2月17日 (日) 23時55分

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