« 2009年6月 | トップページ | 2009年8月 »

「田村はまだか」

Photo_3

朝倉かすみ著「田村はまだか」を読みました。

ある雪の日の深夜、ススキノのバーで、5人の男女が、『田村』が来るのを待っている。小学校の同窓会の3次会である。マスターの花輪は、彼らを見守っている。と言うか、観察している。店の常連である、一太と、花輪のひそかな命名による、腕白、コルレオーネ、いいちこ、エビス・・彼らは40歳である。そして、年齢なりのそれぞれの鬱屈を背負っている。

そして、今、彼らは田村の来訪を熱望している。

小学生の田村は、特別な存在だったから。貧しく、家庭にもまぐまれなかったけれど、孤高の風格があった。田村の印象、彼の言葉は、5人の心に深く刻み込まれている。

彼らは、どうしても田村に会いたかった。なかなか現れない田村。それぞれの過去を振り返りながら、ひたすら待っている5人。時折「田村はまだかぁ!」と叫びながら。

面白く読みました。5人のそれぞれありそうなキャラクターも、面白いけれど、何といっても、「田村」のエピソードには、ちょっと胸を打たれました。

自分も、バーで、田村を待っているような気分になります。そして、読んだあと、本当に、「田村」に会いたくなります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

お人よしって言うか・・・

私、お人よしって言うか、気が弱いって言うか、人に好かれたいんですね。それで、断るのが苦手なんです。思い切って断ると、必要以上にきつくなるらしく、気分を害されたり。それも考えすぎかもしれないけど。

先日、ジムで友達と軽食を取っていた時、顔見知りの人が来て同じテーブルに座りました。そして、「先生に、(フラダンスの先生らしい)テープをMDに落としてって言われたんだけど、そういうの電気屋さんにやってもらうのかしら?」と言ってきたので、思わず、「電気屋さんはどうかなぁ。あ、うちのコンポでできるかも。」って言ってしまったんです。そしたら、「あらぁ、じゃあ、お願いするわ」と、言われてしまって、(面倒だな。余計なこと言っちゃった。)と思ったんですが、まぁ、そのくらいのことならと思って引き受けたんです。うちに帰って、息子に教えてもらって、出来ることは確認しました。

そうしたら、昨日、彼女が喜々としてテープを持ってきたんですが、なんか、テープにしては随分大きな袋だなと思いました。彼女は、「悪いわね、お金払うから」と言うので、「いいわよ。そのくらい、気にしないで。」と言ったんですが、彼女が取り出したテープを見て、唖然としました。なんと、テープが10本、そして、裏表に入っていて、ダビングの順番を指示したメモつきです。私がとっさに、何も言えないうちに、彼女は事細かにダビングの仕方を説明。聞いてないよ~、って感じでした。

やり方もしっかりとは分かっていないし、すごく面倒そうだけど、忙しい息子には頼めない。もう、引き受けちゃったんだから、やるしかないなぁと、憂鬱でした。夜、息子が帰ってきてから、事の顛末を話すと、「お母さん、それは断るべきだったね。」と言われるし、そばで聞いていた夫に至っては、「なんだ、そんなずうずうしいババァにやってやることない!断れ。」って言ってくるし、自分のふがいなさに余計落ち込みました。

今日、やってみたら、思ったほどではなかったけれど、それでも1時間半ほどかかりました。そして、13曲入れたはずなのに、MDのタイトル数が20になってます。ちょっとおかしい。でも、何がおかしいかもうチェックする元気はありませんでした。明日、「一応やってみたけど、チェックして、おかしかったらお店でやってもらって。これ以上は無理だから。」と言うつもりです。

この話を息子にしたとき、「お母さんの気持はわかるよ。」と言って、自分の仕事の話をしてくれたんです。彼も気が弱いわけではないんですが、すごく優しいので、必要以上に下手にに出るところがあって、それで、会社に入ったころは随分なめられてひどい目にあったらしいんです。それが分かってきたので、最近では、なるべくクールに対応しているそうです。彼も苦労したんだということが分かりました。う~ん、成長しているなって思いました。

性格ってなかなか変えられるものではないですよね。私も、もっとクールになりたい。それでいて、嫌われないような。あれ、やっぱり八方美人が出てしまう・・・

| | コメント (9) | トラックバック (0)

「のぼうの城」

Photo_2

和田竜著「のぼうの城」を読みました。時代ものはあまり読まないのですが、これは面白いという評判だったので。

太閤秀吉が天下を取ろうという頃、関東の覇者、北条氏を責めるにあたって、北条氏側の成田氏の城攻めを、石田三成に命ずる。実は成田氏は大敗を予期して、降伏を内通しているのであるが、今までこれと言った戦功のない三成に手柄を立てさせてやろうということだったのだが。

成田氏の城は、世にも珍しい、水に囲まれた浮城であった。城主が北条の小田原城に半数の兵をひきつれて参戦している留守を守るのは成田氏の弟の城代であるが、かつてのつわものも、年老いて病身である。

そして、城代の息子がとんでもないボンクラで、何を考えているか分からない男である。武術などできない上に、百姓が好きで、いつも田圃をうろうろしている。農作業を手伝おうとすれば、邪魔になるだけで、百姓たちにも迷惑がられる始末。しかし、なぜか憎めないこの男を農民たちは「のぼう様」と呼んで親しんでもいた。のぼう、とはでくのぼうのことである。

この、忍城の兵は500、それに対して、三成の兵は2万を越えていた。じわじわと大軍に取り巻かれた城の中では、城主からの指令もあり、開城するしかないと思われたのだが・・・

ここからは成田の重臣たちの思惑や、三成軍との駆け引き、そしてなんと「のぼう様」こと長親の言葉によってはじまった戦など、次々と意外な展開が続くのですが、面白かったです!

丹波守をはじめとする成田の武将達や、三成とその周辺の武将、それぞれのキャラが鮮やかで、特にのぼう様・長親の正体は最後まで、大物なのかでくのぼうなのか煙に巻かれます。

大体の人物が、武士らしく儀を重んじ、勇猛でかつさわやかです。特に丹波守は、冷静でまた熱い心をもっており、ものすごく強いんです。格好良かった!

こんなに読後感のいい戦国ものも少ないんじゃないでしょうか。これは史実に基づいているというのも驚きです。勿論、多くの記録から、作者がこの魅力的な物語を紡いだんでしょうが。

ちっとも、この本の魅力を伝えられなくて、もどかしいんですが、私の中では、時代ものの中でナンバーワンですね。お勧めします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

昨日、母のホームに行きました。いつものように、おしゃべりしたり、おやつを食べたり、すぐ近くのコンビニまで散歩がてら買い物に行ったりしました。そこに居を移してから1年半になり、94歳になったのですが、やはりかなり衰えて、歩くのにも杖が必要になり、とてもゆっくりになりました。歳には抗えないということでしょうか。でも、その歳にしては、頭もはっきりしていますし、元気な方と言えると思いますが。

話している時、「いろんな事が出来なくなってきたのよ。力が入らなくて、爪が切れないの。」と、言うので、爪を切ってあげました。

手の爪はそれほど伸びてなかったので、すぐ切れたのですが、「足も切ってくれる?」というので、「いいわよ。」と言って、靴下を脱いでもらいました。

びっくりしました。あまりにも伸びて、指の裏側まで回りこんで、まるで怪獣の爪のようになっているんです。皮膚とも一体化しているような感じで、切りにくくて苦労しました。「早く、こんなになる前に言えばいいのに。」と言いましたが、きっと、言いにくかったんでしょうね。プライドは高いですから。自分でも何とか切ろうとしたらしいのですが、目も悪くなったので、足の爪はよく見えないというのです。

爪を切っていて思い出したのは、子供が赤ちゃんのころ、小さな小さな爪を切るのに苦労したことです。いつ頃まで、子供の爪を切ってやっていたか覚えていませんが、人の爪を切ったのはそれ以来です。

歳を取ると子供にかえるといいますが、人の手を借りなければならないという意味でもそうなんだなと思いました。歳を取るって、どういうことなのか、母を見ていると少しずつ分かってくるような気がします。でも、昨日は、大したことではないのに、ちょっとショックでした。自宅で介護している方は、肉体的にもそして精神的にも、どんなにか大変だろうかとも思いました。

やがて来る道ですよね。自分の老後の事ってなるべく考えないようにしてしまいますが、少しずつ心の準備もする必要があるのでしょうね。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

« 2009年6月 | トップページ | 2009年8月 »