昨日の続き  「戦後史の正体」

今日はできるかな。

う~ん、画像の挿入のボタンが反応しません。どうしたんでしょう。

それに、ココログを表示しようとすると、記事の部分が真っ白です。

今までこんなトラブルはなかったんですが。私だけでしょうか?

今回の旅行の記事は諦めます。せっかく、久しぶりに書こうと思ったのに、がっかりです。

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ところで、違うお話ですが、最近、素晴らしい本を読んだので、ご紹介します。

孫崎亨氏の「戦後史の正体」です。

私は、なぜ日本がいつもいつもアメリカの言ううなりになるのか、不思議で仕方ありませんでした。この本を読んで戦後の日米関係が初めて分かった気がしました。そして、歴代の総理大臣に持っていたイメージも随分と変わりました。

この本は、高校生でも読めるようにと、書かれただけあって、とても読みやすいのもいいところです。私でもすらすら読めました。

もうすぐ、選挙ですね。できたら、その前に読んでいただきたいですね。時間がないけど。

TPP問題も、よくわからなかったのですが、この本によると、日本の誇る、健康保険制度が、崩壊する可能性が高いそうです。

私的には、なんといっても、争点は原発廃止かどうか、消費税、TPPだと思うのですが、なんだかうやむやにされそうで怖いです。

福島で何も学ばなかったら、馬鹿ですよね。しかも、この地震国で、地震は活動期に入っているんだそうです。」景気よりも何よりも、大切なのは人間の命じゃないですか。

マスコミでは、原発稼働を公言している党が、圧勝と言っています。腹が立つのをとおり越して悲しいです。

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カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ氏の本を2冊読みました。

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5歳で、英国に移住、現在は英国国籍で、日本語は話さないらしいです。英国屈指の文学賞を受賞して、今や国際的に活躍なさっている方です。そんなわけで、本は翻訳によるものです。

「日の名残り」(ブッカー賞受賞)と「私を離さないで」を読みました。

「日の名残り」は、ある執事の物語で、長年仕えた主人がなくなり、2番目の主人に仕えているのですが、有能な使用人を必要としていて、昔の女中頭を訪ねる旅に出るのですが、ロードムービー的な面でも楽しめます。執事と言っても、言葉は知っていても、実際の仕事は良く分からなかったのですが、この本を読むと良く分かります。主人公の信念とプライドには胸を打たれるものがあります。

「私を離さないで」は、先日映画を見ました。本を読んでから思うと雰囲気的には割合良くできていたと思うのですが、物語の残酷さのほうが印象的で、本を読むと悲惨ではあるのですが、詳しい心の機微がわかって、人間の本質が書かれていたのだと納得しました。

この2冊は、テーマもテイストも全く違うのですが、共通しているのは、シーンとした感じを受けながら、心をひきつけてやまない文章の力でしょうか。両作品とも、細かい心の動きが描かれていて、私はあまりそういう描写が続くのが苦手な方だったのですが、つっかえることなくぐいぐい読まされてしまいました。

両方とも、感動的な素晴らしい本でした。この作者の他の作品も読んでみようと思っています。

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「終わらざる夏」

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浅田次郎著、「終わらざる夏」(上下巻)を読みました。著者自身の言葉では、この物語の主人公は戦争そのものです。私は戦後生まれで戦争は知らないけれど、父は2度の招集を受けたそうです。戦争の話も時々聞きました。でも、若い世代は、親も戦争を知らない世代。こういう本を読んで、戦争がいかに悲惨なものであるか、知ってほしいと思います。

敗戦直前から物語は始まります。一億総玉砕と国民が思いつめていたころです。しかし、ごく一部の軍の上層部は、ポツダム宣言受諾を予期し、米軍がやってきたときに備えて、通訳要員を配置することを急務と考えています。そして、45歳にもなった片岡が選ばれ、彼とともに、医者の菊池、鬼熊軍曹と名高い、富永が招集される。彼らを中心に、彼らの家族の思いも描かれて、それぞれが胸に迫ります。

彼らは、千島列島の孤島に配属されます。そこは、米軍が北から攻めてくるとの予想から、元関東軍の精鋭と完全な軍備が奇跡的に残されています。制海権を失って、移動しようにもできなかったのです。そして、敗戦。無念とほっとした気持ちがじわじわと広がり、米軍が来る前にと、軍備を破壊しようとしている時、カムチャッカ半島から爆撃があります。それはなぜか敗戦後なのに、ソ連軍からのものでした。そして、敗戦後の極北の戦いが始まりました。

戦争は当たり前ながら、国と国が争うと言う建前の裏には、人間一人ひとりの戦い、苦悩、家族に対する思いがあります。浅田氏はそれをこれでもかと言うくらい描き切っています。不覚ながら、又大泣きさせられてしまいました。稀代のストーリーテラーですね、彼は。

敗戦後にこんな戦いがあったとは全く知りませんでした。ソ連が憎いと思ってしまいますが、そこはぬかりなくと言うか、ソ連軍の将校の視点でもこの悲惨な戦いが描かれていて、それも個人より、戦争と言う組織的な暴力の非道さを訴えてきます。

是非多くの方に読んでもらいたい本だと思いました。

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「月と6ペンス」

モームの「月と6ペンスを読みました。確か、高校のころ読んだと思うのですが、内容はすっかり忘れていました。子供だったから、あまり強い印象を受けなったんでしょうね。今回は、とても心を惹かれました。

前に読んだ時は知らなかったと思うんですが、画家のゴーギャンがモデルです。ゴーギャンの絵は割と好きで、何カ月か前、ゴーギャン展も見に行きました。彼については、ゴッホとの共同生活とか、タヒチに移住して最期を迎えたことくらいしか知らなかったです。でも、彼の絵の強烈な・・狂気と紙一重のような・・印象から、絵に対する尋常でない情熱は感じられました。

小説ですから、すべてが事実ではないでしょうが、非常に、印象的で魅力的なゴーギャンが描かれています。又、彼を取り巻く人々も強烈です。ごく普通の生活を送っていたある日、1枚の手紙を残してゴーギャンに捨てられた妻の芯の強さ、パリで、ゴーギャンにひどい目に会いながらも彼の命を救い、揚句は妻まで取られてしまう、大衆的な馬鹿がつくほど人のよい画家、そしてその妻。タヒチにわたってからの、ゴーギャンの妻。皆あまりにもドラマティックで、個性的です。そしてゴーギャンその人の、魂を芸術に売り渡してしまったような、一切の世俗的な感情を捨ててしまったような生き方には、憧れさえ感じます。彼は死んでも、彼の絵に、渦巻くような情熱は焼きつけられているような気がします。

題名の月は、情熱を6ペンスは世俗を表しているらしいです。モームはこの作品で、世界的な作家になったそうです。

話は全く変わりますが、うちの夫の久々の料理です。

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金目鯛の、青紫蘇とゴマのソース、アスパラ、レッドオニオン、きぬさや添え。スパゲティ・アーリオオーリオ。ニース風サラダ。う~ん、美味しかった。手際も良くなって、腕も上がったみたいです。ワインが進んでしまって。台所が、散らかっているとか、文句を言わなければもっといいんだけど・・・はい、片付けます。

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「田村はまだか」

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朝倉かすみ著「田村はまだか」を読みました。

ある雪の日の深夜、ススキノのバーで、5人の男女が、『田村』が来るのを待っている。小学校の同窓会の3次会である。マスターの花輪は、彼らを見守っている。と言うか、観察している。店の常連である、一太と、花輪のひそかな命名による、腕白、コルレオーネ、いいちこ、エビス・・彼らは40歳である。そして、年齢なりのそれぞれの鬱屈を背負っている。

そして、今、彼らは田村の来訪を熱望している。

小学生の田村は、特別な存在だったから。貧しく、家庭にもまぐまれなかったけれど、孤高の風格があった。田村の印象、彼の言葉は、5人の心に深く刻み込まれている。

彼らは、どうしても田村に会いたかった。なかなか現れない田村。それぞれの過去を振り返りながら、ひたすら待っている5人。時折「田村はまだかぁ!」と叫びながら。

面白く読みました。5人のそれぞれありそうなキャラクターも、面白いけれど、何といっても、「田村」のエピソードには、ちょっと胸を打たれました。

自分も、バーで、田村を待っているような気分になります。そして、読んだあと、本当に、「田村」に会いたくなります。

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「のぼうの城」

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和田竜著「のぼうの城」を読みました。時代ものはあまり読まないのですが、これは面白いという評判だったので。

太閤秀吉が天下を取ろうという頃、関東の覇者、北条氏を責めるにあたって、北条氏側の成田氏の城攻めを、石田三成に命ずる。実は成田氏は大敗を予期して、降伏を内通しているのであるが、今までこれと言った戦功のない三成に手柄を立てさせてやろうということだったのだが。

成田氏の城は、世にも珍しい、水に囲まれた浮城であった。城主が北条の小田原城に半数の兵をひきつれて参戦している留守を守るのは成田氏の弟の城代であるが、かつてのつわものも、年老いて病身である。

そして、城代の息子がとんでもないボンクラで、何を考えているか分からない男である。武術などできない上に、百姓が好きで、いつも田圃をうろうろしている。農作業を手伝おうとすれば、邪魔になるだけで、百姓たちにも迷惑がられる始末。しかし、なぜか憎めないこの男を農民たちは「のぼう様」と呼んで親しんでもいた。のぼう、とはでくのぼうのことである。

この、忍城の兵は500、それに対して、三成の兵は2万を越えていた。じわじわと大軍に取り巻かれた城の中では、城主からの指令もあり、開城するしかないと思われたのだが・・・

ここからは成田の重臣たちの思惑や、三成軍との駆け引き、そしてなんと「のぼう様」こと長親の言葉によってはじまった戦など、次々と意外な展開が続くのですが、面白かったです!

丹波守をはじめとする成田の武将達や、三成とその周辺の武将、それぞれのキャラが鮮やかで、特にのぼう様・長親の正体は最後まで、大物なのかでくのぼうなのか煙に巻かれます。

大体の人物が、武士らしく儀を重んじ、勇猛でかつさわやかです。特に丹波守は、冷静でまた熱い心をもっており、ものすごく強いんです。格好良かった!

こんなに読後感のいい戦国ものも少ないんじゃないでしょうか。これは史実に基づいているというのも驚きです。勿論、多くの記録から、作者がこの魅力的な物語を紡いだんでしょうが。

ちっとも、この本の魅力を伝えられなくて、もどかしいんですが、私の中では、時代ものの中でナンバーワンですね。お勧めします。

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「悼む人」

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天童荒太著「悼む人」を読みました。

知ることができた死者を、どのような死であったかを問わずに、彼独自の方法で悼む旅を続ける静人。彼を愛し、家庭に戻ることを願う家族・・彼の母は末期のがんを患っている。数奇な運命で夫を殺した女は、出所して引き寄せられるようにして戻った現場で、彼に出会う。そして、人の心を信じることができず、興味本位の記事を書くことを生業とした雑誌記者も、偶然静人に出会い、馬鹿にしながらも心惹かれる。

なぜ、彼はこのような事をしているのか?こんな事をして意味があるのか?本の中の人々と同じように私もこの思いにとらわれました。自分は病気なのです、と言う彼も、自分のしている事をうまく説明できないのです。彼の子供のころの出来事や親友の死が背中を押しているのは事実なのでしょうが、彼は、理由よりもそうしないではいられないとしか言いようがありません。

読んでいる時も、何か不安な気持ちや違和感をぬぐえませんでした。でも、読み進めているうちに、少しずつ彼の姿がイメージされ、気持が寄り添うような気がしてきました。

雑誌記者が、自分の死に瀕して、心底静人を求める気持ちになったところで、腑に落ちた感じがして、涙が出ました。

普段、私たちは死のことを考えないようにして生きていますよね。いずれ死ぬのは自明のことなのに、いつ死ぬのかも分からないのに、自分の死に備えようともしないで。そして、他人の死も、どんなに悲しくても記憶は薄れていきます。そうしなければ、生きていけないでしょう。

これを読んで、私は子供のころを思い出しました。小学生だったと思いますが、テレビのニュースで、交通事故で人が亡くなったことを知り、ふと、人が死んだのに何も感じない自分はひどい人間ではないだろうかと思ったのをはっきり覚えています。でも、すべての死を心から悲しんでいたら、生きていけないと、子供なりに解決をつけたんだったように思います。

ありえないけれど、静人のような人がいたら、気が休まるのではないかと思いました。けれど、死とは何なのか、当たり前ですが、やはり分からないままです。それは自分で考えなさいと作者は言っているのでしょう。

少し前に、「送り人」も読みました。映画で話題になった、納棺師の物語です。このなかでの、「納棺」という儀式も、ある意味、人を悼む行為でした。そして、この二つの本は、人の死は個々ですべて違うということを提示しているとも思いました。同じ生がないように、同じ死もないし、それはどんな人生を送った人でも悼まれるべきものなのかも知れません。はっきり言い切ることができないのですが・・・

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名著講義・山川菊栄「武家の女性」

芥川賞の発表があると、文芸春秋を買うんですが、ついでにほかの記事も読みます。その中に、こんな記事がありました。藤原正彦先生のゼミの講義が掲載されていました。藤原氏は「国家の品格」で有名ですよね。私は読んでいませんが。題名が、右翼っぽい感じがして敬遠していました。それが、rippleさんのブログで、氏が新聞紙上で身の上相談をやったのをまとめた本が紹介されていたのを見て、面白そうだったので読んでみたら、ユーモアがあって、共感するところもあったので、この記事が目に留まりました。

山川菊栄は、名前は知っていた程度です。大正時代に女性解放運動の闘士と呼ばれた人です。その彼女が母を主人公に幕末水戸藩の下級武士の生活を描いた物だそうです。その本自体読んでいないのですが、講義の内容は興味深いものでした。

封建時代の女性は束縛されて自由もない、悪いイメージがありますよね。私もそうだったんですが、実はとても強く自立してプライドを持って生きていた女性も多かったそうです。夫との役割分担がはっきりしていて、家事育児全般は一切取り仕切っていました。勿論、財力はなかったけれど、今のようにお金の価値を重視した世界ではなかったので、それで卑屈になることはなかったのです。

その頃は妾を持つことも公認されていましたが、それも、家系を保つための手段として妻は公認していたのです。男の子が生まれなければ、家は絶えてしまうので、正妻は妾の面倒まで見たそうです。

この話のところで、学生が、そういうことなら我慢が出来るかもしれないけれど、性的な意味での妾はだめです、と言ったのが面白いというか、う~ん、と思いました。それから、顔も見ない相手と結婚するぐらいなら、浮気をして心中してやる、と言った学生もいました。

確かに、武家の女性は自由な外出はもとより、実家にも盆暮れに挨拶に行くぐらいとか、今から見ればとても大変です。七去三従と言って、儒学の教えでは、「子なき女は去る」「悪しき疾あれば去る」などなど、男尊女卑の思想には怒りを抑えられません。そんな中で、主君に命をささげていた男性に、献身することに価値を見出し、強く生きていた女性たちがいたんですね。

今で言えばフェミニストであった、山川が、「住みにくい世の中、激しい時代を静かに、力強く生き通して、はるかに明るく、生き良い時代の土台を作っていった私たちの前代または前々代の親愛なるおばあさんたちに、深い敬意と感謝を表しながらこの筆をおくことにいたします」と、この本を締めくくっているのは、ある種の感動を覚えます。そして、「一体にわれわれが考えるほど当時の女性たちが不幸だったとは言えません」という、一文が衝撃的です。

藤原氏は、山川が、当時の女性が幸せを感じていたかどうかを見つめている、と述べていられます。理不尽、不合理、不自由、不平等、貧困などより、人々の幸福感こそが本質と洞察した嗅覚はさすがであるとも。確かに、自由で平等で豊かであるにこしたことはないけれど、一番大事なのは、それで幸福になれるかどうかです。拝金主義に覆われた現代だからこそ、ハッとさせられます。

フェミニストというと、ちょっと融通の利かない頑なさを思い浮かべてしまったりしますが、元祖フェミニストの山川菊栄という人は、冷静で柔軟な考えをもった女性なんですね。

ここに書いたこと以外にも、嫁と姑の関係とか、いろいろ話題になっていて、学生の素直な発言と、藤原先生の時にユーモアたっぷりの応答も面白かったです。先生もおっしゃる通り、現代の若い女性にもいろいろな価値観があるんですね。ほとんど専業主婦の私は、ちょっと肩身が狭い気持ちもあったんですが、人それぞれ、自分の価値観をもちつつ、献身の気持ちも忘れずに生きていけばいいのかな、とそんなことも思いました。

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「ゴールデン・スランバー」

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伊坂幸太郎の本です。いつもながら、面白い。そして、いろいろな伏線がつながっていくのも、いつも通り。ぐんぐん引き込まれます。

元宅配便ドライバー、青柳はイケメンで心優しい青年であるが、その優しさゆえに?彼女に振られ、学生時代のサークル仲間とも疎遠になっている。が、ある日、昔の仲間森田に呼び出される。実は、少し前、電車で痴漢呼ばわりされたとき、突然現れた森田に助けられたことがあった。

ちょうどその時、舞台である仙台では、新進気鋭の新首相のパレードが行われているのだが、上空から降りてきたラジコンヘリに搭載された爆弾で暗殺されてしまう。

そんなことも知らない青柳は、森田に「お前は陥れられようとしている。逃げるんだ」と言われ、理由も分からないまま、車に森田を残して現れた警官たちから逃げ出す。

彼は何と首相殺しの犯人にでっち上げられているらしい。訳は分からないが、巨大な組織的陰謀があり、あわよくば犯人にされたうえで、殺されるかもしれない。それを、だんだんに信じざる負えないような状況となり、必死で逃げるが、じわじわと追い詰められていく青柳。

青柳に感情移入してくると、読んでいて恐怖感が募ってきます。そして、巨大な組織(それは何なのか、分からないところがまた怖いんですが)に対する怒りがこみ上げています。

青柳の昔の彼女、晴子は、テレビで事件を知るが、彼が犯人とは思えない。また、再開したもとのドライバー仲間、岩崎も、彼を信じて手助けをしてくれる。そして、極めつけは、彼の父。糾弾すべく集まったマスコミを相手に、「あいつはやっていない。おれはよく知っている。厄介なことになっているから、雅春、ちゃっちゃっと逃げろ!」と、言い放ち、顰蹙を買います。ちょっとウルッと来るシーンです。この人たちがいなければ、あまりにも悲惨です。もしも、自分が何かの濡れ衣をかけられて、圧倒的に不利な時、そのくらいの人が私を信じてくれるんだろう?なんて考えてしまいます。

この小説は、あのケネディ暗殺を下敷きにしています。森田は、「お前、オズワルドにされるぞ」と言いますが、ぞっとしますよね。最近、「JFK」という映画を見たんですが、今では、オズワルドが犯人だとは誰も思っていないんじゃないでしょうか。こんなことが、本当にあったんですから、この小説もあながち荒唐無稽とも言えないかも。

結末は、ちょっと力が抜けるというか、もやもやは残りますが、う~ん。

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「最悪」 「対岸の彼女」

最近読んだ本の中からの2冊です。

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奥田英郎著「最悪」は、鉄工所を経営する中年の気弱な男の川谷、銀行OLのみどり、パチンコで何とか生活している21歳の和也の3人に降りかかるそれこそ最悪な、出来事の嵐を面白おかしく書いているが、ちょっと身につまされる。

川谷は不況の中、仕事に追われつつ喘ぐような生活の中、仕事の受注もとの担当者に勧められ、高価な機械を入れて仕事を拡大するという、彼にとって初めての冒険をしようと決意する。それには大金を銀行から借り入れなくてはならない。しかし、そんな川谷に頭の痛いことが起きる。工場の騒音について、近隣のマンションの住人から抗議を受けるのだ。

みどりは版を押したような銀行業務にうんざりしているが、ほのかな好意を寄せるエリート行員と親友がホテルに入るのを見てしまう。そして、いやいや参加した支店ぐるみのバーべキューの夜、こともあろうに支店長からセクハラを受け・・・

和也はパチンコ屋で知り合ったチンピラと組んで、深夜の倉庫に盗みに入るが、使ったやくざの車が目撃されていた。やくざにリンチされ、大金を要求されて、更に犯罪を重ねるのだが。

3人ともやることなす事自分を追い詰める最悪な結果を手繰り寄せ、それぞれの人生が交錯したとき、追い詰められた彼らはどうなるのか?

と言ったようなお話で、奥田さんらしいスピーディな展開で、ついつい読んでしまいます。ありそうで、それはないでしょうという感じ。この3人を含めて、登場人物がまた、いかにもいそうな感じ。ちょっと深刻なコメディとでもいうのかな。この3人の中では川谷が一番かわいそう。今の不況の中、こんな町工場の経営者居るかも、と思ってしまいました。

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これは角田光代著「対岸の彼女」。いつも読んでいるブログの中で紹介されていたので読んでみましたが、面白かった。

幼い娘と公園めぐりをしている主婦、小夜子は友達を作れない娘に悩んでいた。それは、元々周囲に溶け込むことが苦手な自分自身に対する悩みでもあった。そんな彼女が、仕事をすることを決意し、やっと見つけた会社の社長は小夜子と同い年で同窓の女性だった。仕事は、会社が新しく立ち上げる家庭向けの清掃業だったが、きつい仕事の中にやりがいを見つけていく小夜子、そして自分とは対照的な社長、葵にあこがれとも友情ともつかない気持ちが膨らんでいく。

葵には、少女時代いじめられたことがあり、そのために引っ越しまでして入学した学校でできた親友との、忘れられない友情と、世間をにぎわすことになってしまった過去があった。

小夜子と葵の今と、葵の少女時代が並行して語られるのだけれど、どちらにも共感できる部分があって、胸がちくちくする感じでした。この本を紹介してあったブログでは、この本は「生きにくさ」が、良く書かれている、とありました。男性のブログです。男性が読むと、そういう感じなのかな、と思いました。私には、これは「女性の生きにくさ」が書いてあって、だから共感できるのだと思いました。勿論、女性も人間だから同じことかもしれないけれど。

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